2020-01-01から1年間の記事一覧

【こぼれ話】自主性②

自主性とは、他人から指示や援助を受けることなく、自ら率先してやるべきことを行う態度や性質のこと。 自主性を育てるには家庭内でのお手伝いが有効なようで、幼稚園や小学校低学年のころは長期休暇の宿題として出される。 お手伝いを任されれば『自分の仕…

【こぼれ話】自主性①

世の中には「自分も嫌だったけれど、我慢したのだから次の人も我慢して当たり前」と考える人間は結構いる。 なぜそんな風に考えるのか不思議だ。自分が体験して嫌だと思ったり、無駄に感じたりしたことは、次にそのまま引き継がずに改善したり、取り止めたり…

【こぼれ話】夏の香

長い梅雨がやっと明けて今年も夏がやってきた。新型コロナウィルスの影響でいつもの夏とは大きく違うが、それでもやっぱり夏は好きだ。今年は旅行も帰省もするつもりはない。それでもなぜかワクワクする。 4歳から11歳までは、習っていたモダンバレエの発表…

【こぼれ話】不器用ママ

私は加工された甘いものが苦手だ。フルーツそのものの甘さが一番おいしいと思う。そもそも我が家には砂糖がない。砂糖がなくても、料理はみりんで十分だと思う。 私にとってちょうどいい加工された甘いものといえば、ロッテの『小梅だより』とミナツネの『あ…

【こぼれ話】100ひく90は

リオが小学1年生のこと。リオは浴室に入っても自分では頭も体も洗おうとせずに、いつも湯気で曇った鏡に絵を描き始める。私に今日一日のできごとを絵で説明してくれたり、自分で考えたお話しを絵とともに聞かせてくれたりする。それを聞きながら私がリオの頭…

【こぼれ話】リオ 自我の目覚め

リオが自我に目覚めたのは、6歳の誕生日だった。 それまでは存在感満載お祭り男のミツキに振り回されて、リオ自身の感情は滅多に表にでなかった。リオはもっと自分の感情を出して図々しくなるべきだと、私は思っていた。 「いいよ。ミっちゃんにあげる」 「…

【こぼれ話】whiteリオ

ミツキの幼稚園は広域から園児が集まっていたので、小学校では仲の良い友だちは散り散りとなった。同じ小学校に入学したのは、ミツキを含めて5人だけ。しかも、ミツキ以外は隣のクラスだった。 本人は何も言わなかったが、きっと不安に違いない。勉強嫌いで…

【こぼれ話】学校公開

学校行事の1つに「学校公開」というものがある。これは昔で言う授業参観に当たるものだが、より子どもたちの普段の様子が見られてよい。公開期間は1週間もあり、朝礼と給食と帰りの会以外は全て参観できた。 私はミツキの学校での様子、授業の進み具合や理解…

【こぼれ話】どくさいスイッチ

小学3年生のころの私は、月に1冊ずつ「ドラえもん」の漫画本を購入していた。当時の私のお小遣いは500円で、漫画本は320円だったと思う。 月の初めに1冊買うと月末まで暇さえあれば何度も読み返した。今月の1冊にさすがに読み飽きると、それまでに買ったもの…

【こぼれ話】因果応報②

Nくんには3歳下の妹がいた。名前はYちゃん。リオとYちゃんは1歳違いで、リオはYちゃんを慕っていた。近くに住んでいるので、登園後の帰り道、リオとYちゃんは遊びながら一緒に帰った。 ところが、Nくんによるミツキ突き飛ばし事件の翌日から会わなくな…

【こぼれ話】因果応報①

ミツキが幼稚園年長に進級して間もない、ある日のお迎えのときのこと。私が園に着くと園児の引き渡しは大方終了していて、教室内に園児は数人しかいなかった。 できるだけ早く迎えに来て欲しいといつも言われているので、申し訳なさそうな顔で教室内を見渡し…

【こぼれ話】証言

ミツキが小学2年生に進級する直前の春休みのこと。 リオを連れて小学校に隣接する公園に遊びに行った。公園にはミツキもいて、10人ほどの友だちと共に遊んでいた。 ミツキたちは、二手に分かれて鬼ごっことかくれんぼを混ぜたような遊びをしていた。ミツキは…

【こぼれ話】強情リオ

ミツキ5歳、リオ1歳6か月のこと。 ある秋晴れの気分のいい日の午後。リオの手をひいて、ミツキの幼稚園まで歩いてお迎えに行った。いつもなら玄関先でリオをベビーカーに乗せて、幼稚園まで続く川沿いの緑道を急ぎ足で歩いて行く。この日は時間に余裕もあり…

【こぼれ話】リンゴちゃんごっこ

「ママ、リンゴちゃんごっこしよう」 散歩の途中にベンチでひと休みをしていると、4歳のリオがニコニコしながら言った。 「リンゴちゃんごっこって何?」 「リオちゃんが考えた遊びだよ」 「ふーん。どうやるの? 教えて」 「あのね、リオちゃんが『リンゴ』っ…

【こぼれ話】リオ

ミツキには4つ年下の妹のリオがいる。存在感たっぷりのミツキのことばかり書いてきたが、これからはリオについても書いていこうと思う。 リオは4月に生まれた。ミツキの出産のときに帝王切開だったので、リオも自動的に帝王切開となった。 2,694グラムと小さ…

【こぼれ話】カタッチュ

スーパーでバジルを買ったら葉にカタツムリが2匹ついていた。当時4歳のリオはとても喜び、2匹ともカタッチュという名前をつけて飼い始めた。 インターネットでカタツムリの飼い方を検索すると、好きな食べ物は、キャベツ・キュウリ・にんじんとある。カタツ…

【こぼれ話】羽化

ミツキが小学3年生の5月下旬、小学校のプール清掃に伴って行われた「ヤゴ救出作戦」で、ヤゴを14匹もらってきた。 私が、トンボの幼虫はヤゴであると知ったのは、中学2年生のときだった。矢後先生という女性の先生が近々結婚するというので、なんという名字…

【こぼれ話】葉野ペロ

我が家にペロくんがやってきたのは、ミツキが幼稚園年長の冬のことだった。 ペロくんとはザリガニの赤ちゃんのことで、名付け親はミツキだ。 冬休みの直前に幼稚園で産まれたザリガニの赤ちゃんを6匹もらってきた。家には水槽もなければ砂利も餌もない。ザリ…

【こぼれ話】たった1つのジャガイモ

ミツキ小学4年生、リオ幼稚園年長の冬のこと。 夕飯をおでんにしようと思い、予め買いこんでおいた食材を切り始めたところで、ジャガイモがないことに気が付いた。 「わあ、ジャガイモがない。失敗した!」 思わず私は声をあげた。 「じゃあオレが買ってきて…

【こぼれ話】 指しゃぶり対決

ミツキは、暇さえあれば右手親指をおいしそうにしゃぶっていた。3歳ともなると指しゃぶりをする子はまわりにほとんどいなくなる。定期歯科検診では上の前歯の歯並びが悪くなりつつあると警告され、早急にやめさせるようにと注意を受ける。困ったものだと思い…

おわりに

中学校の三者面談でミツキに対して感じた違和感の話から始まり、出産時まで一気にさかのぼり、成長を振り返りながら、中学卒業までを記してきた。 ミツキにキャッチフレーズを付けるとしたら「生まれたときから反抗期」だ。生後8か月で児童館デビューをし、…

これから

周りの人たちの優しさと、ミツキ自身の持ち前の明るさのおかげで、小学校までは楽しく幸せに生きてきた。 ところが、中学校では学習内容が難しくなり、成績は底辺を横這い状態になった。今どき中卒という訳にもいかない。なんとか成績を上げてやりたい、成績…

受動と能動

すべてに完璧でバランスのとれた人はいないだろう。そういう意味では、誰でも何かしらの発達障害的傾向要素を持ち合わせている。 発達障害について調べ始めてからというもの「この人のこういうところ、ADHDみたいだな。アスペルガーみたいだな」そんな風に心…

卒部のスピーチ

中学校の卒業式から1週間後、野球部の送別試合が行われた。ミツキは、サクッと早起きをして、そそくさと出かけていった。 毎年恒例の試合で、例年は卒業生対在校生なのだが、ミツキたち卒業生は5人だ。どのように分けるのか気になっていると、前年度の卒業生…

クイズ付宣言書の感想

卒業式にもらったミツキからの手紙は、本人も自覚しているようにズレた代物だった。 無事に高校受験を乗り越えて中学校を卒業するにあたって、陰で支えてくれたであろう保護者への感謝を綴ることを学校側は意図していただろう。おそらく多くの生徒が、3年間…

クイズ付宣言書

「卒業式に行くと、いろいろな資料が入った封筒を渡されると思うんだ。その封筒の中に手紙が入っていると思うんだけど、読まないで捨ててもらえないか」 卒業式の前日、ミツキは神妙な面持ちで言った。文章を書くのが苦手なミツキのことだ。どうせまたズレた…

中学卒業旅行

毎年お正月休みはスキー場へ家族旅行、1月の3連休は夫の実家への帰省と決まっていた。しかし、この年はミツキの受験を考慮して、家族旅行はおあずけにした。旅行好きの私としては、ミツキの中学卒業旅行を企画したかった。当初の志望校には届かなかったが、H…

私と祖父母

私は中学受験を経験している。結果は自分でも納得の不合格だった。結果発表の帰り道、相当なショックを受けた母は、目にこぼれんばかりの涙を浮かべ、鬼の形相で「この金食い虫!」と私に言った。私はその日から親に物をねだることができなくなった。 中学生…

無心行為

2月半ばの土曜日、朝から外出していた私が昼過ぎに帰宅すると、ミツキは出かけていた。 「急におばあちゃんの家に行くって言って出かけたぞ。ミツキから聞いてないのか?」 訝しげに夫は言った。夫の反応通り、確かに怪しい。ミツキは、今まで1人で私の実家に…

高校受験終了後

高校受験といっても面接のみだったが、とにかく合格したのだから、ミツキ本人にはやりきった感があった。そりゃあそうだろうけど、私はどうもおもしろくない。 その上、合格した途端に登校時間が更に遅くなった。それまでは、時間が近づくとそれなりに慌ただ…