2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【こぼれ話】リオ 自我の目覚め

リオが自我に目覚めたのは、6歳の誕生日だった。 それまでは存在感満載お祭り男のミツキに振り回されて、リオ自身の感情は滅多に表にでなかった。リオはもっと自分の感情を出して図々しくなるべきだと、私は思っていた。 「いいよ。ミっちゃんにあげる」 「…

【こぼれ話】whiteリオ

ミツキの幼稚園は広域から園児が集まっていたので、小学校では仲の良い友だちは散り散りとなった。同じ小学校に入学したのは、ミツキを含めて5人だけ。しかも、ミツキ以外は隣のクラスだった。 本人は何も言わなかったが、きっと不安に違いない。勉強嫌いで…

【こぼれ話】学校公開

学校行事の1つに「学校公開」というものがある。これは昔で言う授業参観に当たるものだが、より子どもたちの普段の様子が見られてよい。公開期間は1週間もあり、朝礼と給食と帰りの会以外は全て参観できた。 私はミツキの学校での様子、授業の進み具合や理解…

【こぼれ話】どくさいスイッチ

小学3年生のころの私は、月に1冊ずつ「ドラえもん」の漫画本を購入していた。当時の私のお小遣いは500円で、漫画本は320円だったと思う。 月の初めに1冊買うと月末まで暇さえあれば何度も読み返した。今月の1冊にさすがに読み飽きると、それまでに買ったもの…

【こぼれ話】因果応報②

Nくんには3歳下の妹がいた。名前はYちゃん。リオとYちゃんは1歳違いで、リオはYちゃんを慕っていた。近くに住んでいるので、登園後の帰り道、リオとYちゃんは遊びながら一緒に帰った。 ところが、Nくんによるミツキ突き飛ばし事件の翌日から会わなくな…

【こぼれ話】因果応報①

ミツキが幼稚園年長に進級して間もない、ある日のお迎えのときのこと。私が園に着くと園児の引き渡しは大方終了していて、教室内に園児は数人しかいなかった。 できるだけ早く迎えに来て欲しいといつも言われているので、申し訳なさそうな顔で教室内を見渡し…

【こぼれ話】証言

ミツキが小学2年生に進級する直前の春休みのこと。 リオを連れて小学校に隣接する公園に遊びに行った。公園にはミツキもいて、10人ほどの友だちと共に遊んでいた。 ミツキたちは、二手に分かれて鬼ごっことかくれんぼを混ぜたような遊びをしていた。ミツキは…

【こぼれ話】強情リオ

ミツキ5歳、リオ1歳6か月のこと。 ある秋晴れの気分のいい日の午後。リオの手をひいて、ミツキの幼稚園まで歩いてお迎えに行った。いつもなら玄関先でリオをベビーカーに乗せて、幼稚園まで続く川沿いの緑道を急ぎ足で歩いて行く。この日は時間に余裕もあり…

【こぼれ話】リンゴちゃんごっこ

「ママ、リンゴちゃんごっこしよう」 散歩の途中にベンチでひと休みをしていると、4歳のリオがニコニコしながら言った。 「リンゴちゃんごっこって何?」 「リオちゃんが考えた遊びだよ」 「ふーん。どうやるの? 教えて」 「あのね、リオちゃんが『リンゴ』っ…