2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【こぼれ話】リオ

ミツキには4つ年下の妹のリオがいる。存在感たっぷりのミツキのことばかり書いてきたが、これからはリオについても書いていこうと思う。 リオは4月に生まれた。ミツキの出産のときに帝王切開だったので、リオも自動的に帝王切開となった。 2,694グラムと小さ…

【こぼれ話】カタッチュ

スーパーでバジルを買ったら葉にカタツムリが2匹ついていた。当時4歳のリオはとても喜び、2匹ともカタッチュという名前をつけて飼い始めた。 インターネットでカタツムリの飼い方を検索すると、好きな食べ物は、キャベツ・キュウリ・にんじんとある。カタツ…

【こぼれ話】羽化

ミツキが小学3年生の5月下旬、小学校のプール清掃に伴って行われた「ヤゴ救出作戦」で、ヤゴを14匹もらってきた。 私が、トンボの幼虫はヤゴであると知ったのは、中学2年生のときだった。矢後先生という女性の先生が近々結婚するというので、なんという名字…

【こぼれ話】葉野ペロ

我が家にペロくんがやってきたのは、ミツキが幼稚園年長の冬のことだった。 ペロくんとはザリガニの赤ちゃんのことで、名付け親はミツキだ。 冬休みの直前に幼稚園で産まれたザリガニの赤ちゃんを6匹もらってきた。家には水槽もなければ砂利も餌もない。ザリ…

【こぼれ話】たった1つのジャガイモ

ミツキ小学4年生、リオ幼稚園年長の冬のこと。 夕飯をおでんにしようと思い、予め買いこんでおいた食材を切り始めたところで、ジャガイモがないことに気が付いた。 「わあ、ジャガイモがない。失敗した!」 思わず私は声をあげた。 「じゃあオレが買ってきて…

【こぼれ話】 指しゃぶり対決

ミツキは、暇さえあれば右手親指をおいしそうにしゃぶっていた。3歳ともなると指しゃぶりをする子はまわりにほとんどいなくなる。定期歯科検診では上の前歯の歯並びが悪くなりつつあると警告され、早急にやめさせるようにと注意を受ける。困ったものだと思い…

おわりに

中学校の三者面談でミツキに対して感じた違和感の話から始まり、出産時まで一気にさかのぼり、成長を振り返りながら、中学卒業までを記してきた。 ミツキにキャッチフレーズを付けるとしたら「生まれたときから反抗期」だ。生後8か月で児童館デビューをし、…

これから

周りの人たちの優しさと、ミツキ自身の持ち前の明るさのおかげで、小学校までは楽しく幸せに生きてきた。 ところが、中学校では学習内容が難しくなり、成績は底辺を横這い状態になった。今どき中卒という訳にもいかない。なんとか成績を上げてやりたい、成績…

受動と能動

すべてに完璧でバランスのとれた人はいないだろう。そういう意味では、誰でも何かしらの発達障害的傾向要素を持ち合わせている。 発達障害について調べ始めてからというもの「この人のこういうところ、ADHDみたいだな。アスペルガーみたいだな」そんな風に心…

卒部のスピーチ

中学校の卒業式から1週間後、野球部の送別試合が行われた。ミツキは、サクッと早起きをして、そそくさと出かけていった。 毎年恒例の試合で、例年は卒業生対在校生なのだが、ミツキたち卒業生は5人だ。どのように分けるのか気になっていると、前年度の卒業生…

クイズ付宣言書の感想

卒業式にもらったミツキからの手紙は、本人も自覚しているようにズレた代物だった。 無事に高校受験を乗り越えて中学校を卒業するにあたって、陰で支えてくれたであろう保護者への感謝を綴ることを学校側は意図していただろう。おそらく多くの生徒が、3年間…

クイズ付宣言書

「卒業式に行くと、いろいろな資料が入った封筒を渡されると思うんだ。その封筒の中に手紙が入っていると思うんだけど、読まないで捨ててもらえないか」 卒業式の前日、ミツキは神妙な面持ちで言った。文章を書くのが苦手なミツキのことだ。どうせまたズレた…

中学卒業旅行

毎年お正月休みはスキー場へ家族旅行、1月の3連休は夫の実家への帰省と決まっていた。しかし、この年はミツキの受験を考慮して、家族旅行はおあずけにした。旅行好きの私としては、ミツキの中学卒業旅行を企画したかった。当初の志望校には届かなかったが、H…

私と祖父母

私は中学受験を経験している。結果は自分でも納得の不合格だった。結果発表の帰り道、相当なショックを受けた母は、目にこぼれんばかりの涙を浮かべ、鬼の形相で「この金食い虫!」と私に言った。私はその日から親に物をねだることができなくなった。 中学生…

無心行為

2月半ばの土曜日、朝から外出していた私が昼過ぎに帰宅すると、ミツキは出かけていた。 「急におばあちゃんの家に行くって言って出かけたぞ。ミツキから聞いてないのか?」 訝しげに夫は言った。夫の反応通り、確かに怪しい。ミツキは、今まで1人で私の実家に…

高校受験終了後

高校受験といっても面接のみだったが、とにかく合格したのだから、ミツキ本人にはやりきった感があった。そりゃあそうだろうけど、私はどうもおもしろくない。 その上、合格した途端に登校時間が更に遅くなった。それまでは、時間が近づくとそれなりに慌ただ…

高校合格後

面接に関しては、何の不安もなかった。中学校の面接練習でも、先生からお墨付きをいただいていた。人当たりがよく、コミュニケーション能力は長けているのだ。 無事、合格した。 そして、合格を確認した直後にミツキは体調を崩した。飄々と日々を過ごしてい…

ミツキとじいじ

ミツキが幼稚園年長の年に、実父は脊柱管狭窄症の手術を受けた。持病である糖尿病との兼ね合いが悪く、手術は難航した。 退院後も、予想とは違う現実が待っていた。無口だが優しく朗らかな実父から笑顔が消えた。ミツキが小学2年生になるころには、20キロ以…

志望校決定

12月に入ってすぐに、仮評定が出た。国語と美術が「3」にあがっていた。これにより、私立H高校の推薦基準をなんとかクリアした。正確に言うと5教科で「1」不足しているが、野球部加点があることで救われた。野球をがんばってきて本当によかったと思った。 残…

高校見学②

秋には、公立2校と私立1高の文化祭に行った。偏差値52の公立E高校と偏差値48の公立F高校と偏差値49の私立G高校を選出。偏差値の違いでどれだけ学校の雰囲気が違うかをミツキに体感させたかった。 まずは、偏差値48公立F高校。ミツキはF高校の最寄りの駅でノ…

高校見学①

2年時に2校と3年時で5校、合計7校の高校見学をした。 初めて訪れたのは、公立のA工業高校だった。近隣の工業高校の中で最も生徒が落ち着いていて、就職率の良い、人気のある高校だった。私の高校時代は、工業高校といえば不良のたまり場で、良いイメージはな…

成功体験がまったく活きない

ミツキに「やればできる」を実感してもらえるように、ずっとサポートしてきた。一般的には、成功体験をすればもっとがんばろうと欲が出るものだと思うのだが、ミツキに限ってはそうはならない。うまくいったところで、それはそれと終止符が打たれてしまう。…

潜在意識に刷り込む

6月は野球の夏季大会に向けて朝練があったため、7時過ぎには登校した。そのおかげで、ビー玉はどんどん瓶に貯まっていった。 瓶に色とりどりのビー玉が貯まると、とてもきれいだった。 「おっ、今月はお小遣いもらえるぞ」 貯まればミツキもヤル気が出るよう…

なんでも受け入れちゃう系男子

中学3年生に進級し、3階の教室となった。 「約束通り、これからは7時55分に家を出るんだよ」 「8時で大丈夫だよ」 「おっと、話が違う。3年になって教室が3階になったら7時55分に出る約束でした」 「分かったよ」 「でね、確実に55分に出る意識付けのために…

ミツキの登校状況

ミツキの中学校はベル着運動を行なっている。ベル着とは、登校時間の8時20分の5分前に鳴る予鈴で着席を心掛ける運動だ。家から学校までは徒歩20分。つまり、7時55分までに家を出る必要がある。登校中に友だちと会えば、歩くのが遅くなるかもしれない。もし私…

遅刻について

私は子どものころ、7号棟まである巨大な団地に住んでいた。当時は子どもがたくさんいて、集団登校は団地の1階ホールに集合した後、各階ごとに列になって登校した。 6年間で一度だけ遅刻をしたことがある。小3の秋のこと。起きてカーテンを開けると、窓の外…