中学卒業旅行

 毎年お正月休みはスキー場へ家族旅行、1月の3連休は夫の実家への帰省と決まっていた。しかし、この年はミツキの受験を考慮して、家族旅行はおあずけにした。旅行好きの私としては、ミツキの中学卒業旅行を企画したかった。当初の志望校には届かなかったが、H高校に合格した事実、ミツキがミツキなりにがんばった事実はすばらしい。

 旅先には箱根を選んだ。1泊2日の旅なので、箱根はちょうどいい近さだ。私が子どものころは、旅行といえば伊豆か箱根だった。大人になってからは、箱根といえば日帰りドライブ旅行だった。それこそ行き過ぎて飽きてしまい、子どもたちが生まれてからは一度も旅先には選ばなかったが、ここにきて急に箱根を思い出し、無性に行きたくなった。

 目的の場所は、九頭竜神社だ。前年の秋ころから龍神の本にはまり、九頭竜神社を参拝したかったのだ。ネットで調べたところ「神社への参拝は忌中と呼ばれる50日間は控える」とあったので、3月に入り実父の四十九日法要を終え、忌中が明けてからの旅行を計画した。

 ロマンスカーは、思い出通りの快適さだった。9時前には箱根に到着。

箱根神社→九頭竜神社→箱根関所→海賊船→星の王子さまミュージアム→ホテル泊」

プラン通り、滞りなく巡っていく。

 念願の九頭竜神社では、参拝の他に1つやりたいことがあった。九頭竜神社で毎月行われる月次祭(つきなみさい)では、最後に箱根の龍神水を使って作られた「龍神あんぱん」が配られるそうだ。私たちが参拝する日は月次祭の日ではないが、神社近くの店でも買うことができる。私はこの「龍神あんぱん」を食べて小麦粉を解禁することで、2年間の小麦・乳製品フリー生活を終了させたかったのだ。

 終了させると言っても、それ以前の食生活に戻るわけではない。この2年で医食同源を痛感したのだから。

 家の食事は基本的にはこのまま小麦・乳製品フリーを続ける。しかし、もう少し緩和することにした。月に一度程度は、うどんやピザが食卓に上がることもあるだろう。

 また、ミツキも高校生になれば、新しい友だちとの外食が増えることだろう。厳しく規制すると、返って挫折することになると思った。ミツキが食べたいと思ったときは、食べればいい。そして、食べれば口内炎や肌荒れを起こすだろう。そうなれば、自ら控えるに違いない。その辺はミツキ自身に任せようと思った。

 天気に恵まれ、暖かい日差しの中で、家族4人「龍神あんぱん」を掲げて乾杯した。

 こうして、目覚ましい効果は感じられなかったが、やって良かったとは実感している我が家の小麦・乳製品フリー生活は終了した。

 この晩の宿泊ホテルでビールも解禁。久しぶりのビールは、やりきった満足感も後押しして最高の味だった。

 翌日は、大涌谷散策後、新名所フォレストアドベンチャーへ。フォレストアドベンチャーとは、森の中の空中をハーネスを着用して渡っていくアウトドアパークだ。あまりの高さにガクガク手が震えながらもハーネスを架け替えて何とか進んだ。怖がっていたのは私だけで、子どもたちと夫は余裕綽々なのが悔しい。

 箱根の旅は、懐かしい場所、初めて行く場所、記憶のあいまいな場所、すべてが新鮮だった。

 子どものころ、両親と登山電車とロープーウェイとケーブルカーを乗り継いで観光したことや、大人になってから父の運転する車でドライブしながら温泉に立ち寄ったことなどを思い出すと懐かしさに胸が熱くなった。

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