育児

結果を受け止める④

幼児期には誰でもぶち当たる壁だと思っていたが、書き出してみると、やはり困難の連続だったと思う。発達障害なのだと納得せざるを得ないが、それでも胸がざわつくのだ。 そんな私の気持ちに整理をつけてくれたのが、服巻智子著の『子どもが発達障害?と思っ…

結果を受け止める③

さまざまな本を読み進めるうちに、ミツキは学習機能障害(LD)か注意欠陥・多動性障害(ADHD)なのではないと考えた私は、改めて幼児期のミツキの学習状況を思い出してみた。 3歳の半ばごろから簡単な遊び感覚のワークを始めた。まったくできないという訳で…

結果を受け止める②

吉田友子著『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「そのこらしさ」を生かす子育て(改訂版)』の中から ・社会性の障害、または人とのかかわり方の 質的障害 ・コミュニケーションの質的障害 ・社会的イマジネーションの質的障害・あるいは 柔軟性のにがて ・…

結果を受け止める①

発達障害について何も知らないからこんなにも辛いのだ。ならば知ることから始めなければ。くよくよして笹本先生に八つ当たりしている場合ではない。 私は、発達障害の本を読むことから始めた。このとき、私の中で重要だったことは、発達障害の「原因」という…

WISC-Ⅲ

月に1度、スクールカウンセラーの笹本先生のもとを訪ねた。 「うん、うん、それはお母さん大変でしたね。でも、その対応でいいと思いますよ。その方法でまた様子を見てみましょう」 笹本先生にそう言ってもらえると、1か月分の心のつかえがとれた。しかし、…

数の概念

ミツキは、2年生に進級しても、指を使って算数の計算をしていた。 「7個のブロックと5個のブロックを足してみるね。7を10にするには、5個のブロックを3と2に分けて、3を7と合わせるよ。そうしたら、10になるよね。この10に残った2を足をして、12。だから、答…

少年ミツキ

2年生に進級すると、ミツキは急速に少年へと成長し始めた。 「ミっちゃんて呼ぶのを止めてくれないか。これからはミツキって呼んでくれ」 いつかそんな日がくるだろうと思ってはいたが、やはりさみしいものだ。少年になろうとしている成長は分かるし、うれし…

奔走あるいは迷走

笹本先生のカウンセリングを受けたことにより、私自身の言動は間違っていなかったのだと、自信を持つことはできた。しかし、ミツキに対しての悩みは、解消されなかった。 学習面での不安。どうしようもなく勉強ができないわけではないが、気分次第で出来具合…

小学校初めての面談

1年生の夏休み前に行われた、面談でのこと。 「葉野君は、授業中によく質問してくるのですが、その内容が誰にでも分かるようなことばかりなので困ります。他の子どもたちも不思議な目で見ています」 例えば「バラバラってどういうこと」など誰でも分かること…

消しゴム事件②

翌朝悩んだ末に、次のように書いた連絡帳をミツキに持たせた。 「お友だちのことでの相談の件ですが、ミツキと話合い、ひとまず解決いたしましたので、お電話は結構です」 ずいぶん勝手な言い分だが、先生の手を煩わすまでの話ではないと思ったのだ。しかし…

消しゴム事件①

夕方いつものように、ミツキが宿題を始めたので、様子を見ていたときのこと。筆箱を開けると、粉々にちぎられた消しゴムが出てきた。 「なにこれ。ミっちゃん、こういうことしちゃダメだよ。消しゴムが泣いてるよ。消しゴムにも心があるんだよ」 「オレがや…

勇気100%

6月の第一土曜日に運動会が開催された。まだ入学して間もない1年生にとっては、初めての見せ場だ。そして、ミツキにとっては、立ちはだかる高い壁となりそうだ。想像するだけで、私は心配を募らせた。 リオを遊ばせる名目で、小学校の隣の公園へ行った。真の…

漢字の宿題②

文字に対する石倉先生の一生懸命さは伝わってきたが、2つ受け入れがたいことがあった。 1つは、テストで答えは合っているのに、文字の形が悪いと言うことで、各1点ずつ減点されたこと。決して読めない字ではない。これにより、ミツキは1年生の間、たったの1…

漢字の宿題①

小学生の学習時間は、学年×10分と言われている。これは果たして本当なのだろうか。 小学校に入学して1週間もすると、宿題が出るようになった。まずはひらがなの練習から始まり、あっという間に漢字へと進んだ。 十字リーダーの入った枠の中に文字を書くのだ…

1年2組

「1年2組担任の石倉真美です。先生はみなさんと同じ1年生です。どういうことかと言うと、私は、先生1年生なのです」 先生1年生と自己紹介する石倉真美先生は、私と近い世代に見えた。それもそのはず、石倉先生は、自衛官と塾の先生を経て小学校教諭になった…

子育て本

数字、ひらがな、キッズワーク、歌、お遊戯、縄跳び。どれをとっても私が思い描く子どもの成長とミツキの成長具合とでは、ズレが生じている気がした。年齢に見合った行動を、遊びを通して自然に習得することはなく、興味さえ持とうとしない。無邪気になんで…

奇人変人

幼稚園での活動の中で、次第に気の合う子ども同士で関わる時間が増え、秋ごろにはクラス内にいくつかの仲良しグループができた。 ミツキは、俊足のダイスケくん、大人しそうに見えて実は活発なシュウちゃん、賢いフウタくんの4人組だ。 幼稚園や公園で遊ぶ…

縄跳び

冬になり、園庭開放時に縄跳びをする子ども達が増えてきた。年少さんはひとり縄跳びの練習。年長さんは、数人集まって長縄を楽しんでいた。 ミツキは、もちろんやらない。 保育時間内で縄跳びをするときのミツキの様子を先生に聞いてみた。 「一生懸命ぴょん…

運動会と音楽会

運動会シーズン到来。プレ幼稚園での悪夢が甦る。 入園して半年。ミツキは幼稚園生活にすっかり慣れて、親と離れての活動はもちろん、友だちとの活動が当たり前になっていた。周りと協力して活動する点は今後の課題として残るが、周りに迷惑をかけない程度に…

カズくん②

園庭開放のメリットは、園庭で40分間遊べる以外にもあった。希望すれば個別相談を受けられるのだ。 カズくんママが、個別相談を受けるのを頻繁に目にするようになった。ダイスケくんママも時折していた。 カズくんママは、確実にミツキとダイスケくんにター…

カズくん①

幼稚園でミツキと同じクラスに、体つきのいいのカズくんという男の子がいた。「同じクラスのおもしろいお兄ちゃんと今日は遊んだよ」 入園1日目のミツキが年上と勘違いするほど、カズくんは体格がよかった。 1週間後、近所の公園で親子レクリエーションが…

幼稚園

ミツキは1年間のプレ幼稚園を卒園し、2年保育の公立幼稚園に通うこととなった。 プレ幼稚園の経験虚しく、また一からやり直しになるかもしれない。私から離れられない可能性、泣く可能性、入園式で席を立ち歩く可能性、他の子どもとなんらかの小競り合いが起…

ハマグリ焼きと子育て

家族旅行先の食堂で、天然ハマグリ焼きを人数分注文した。目の前の網の上であぶられたハマグリは次々とぱかっと口を開けた。ところが、私のハマグリだけピクリともしない。私は店員を呼び止めた。 「大丈夫ですよ、お客さん。ハマグリにも個性があってね、な…

続・ひらがな苦行

ひらがな五十音をたったの10日で制覇したので、私の気分は上々。さっそく実践だ。エリック・カール著の『はらぺこあおむし』を持ってきた。 「ミっちゃん、これは何」 「あ」 「すごいね、読めたね。じゃあ、次は」 「お」 「そう、お、だね。じゃあ、次は」…

ひらがな苦行

児童館で遊んでいたら、シュンくんが声を出して絵本を読んでいた。衝撃が走った。 入眠の儀式として毎晩本の読み聞かせをしていた。想像力の豊かなミツキは、おもしろいくらいにお話に熱中し、興奮した。しかし、本は読んでもらうものと思っているようで、絵…

鼻血

男の子は小さいうちは体が弱く、育てるのが大変だとよく耳にする。ミツキと妹のリオとでも、やはりミツキの方が圧倒的に体の心配が多かった。 ミツキは、2歳半ころから頻繁に鼻血が出るようになった。日中に鼻血が出るのならサッと対処でき、衣類を汚すこと…

タタカイごっこ

運動会の翌週、同じピンクグループのユウくんが園を辞めたとミツキが教えてくれた。とてもおとなしい子で、特別にミツキと仲がいいわけではなかったが、ピンクグループ内でリンちゃんとミツキの間をなんとなく緩和してくれている貴重な存在だった。 「ピンク…

ワーク苦行

ミツキは、2歳から某通信教材を購読していた。2・3歳児用では、DVDや絵本やおもちゃが届いていたが、4歳児用からは、さらに幼児向けのワークブックが加わった。 ワークの内容は、数字の書かれた黒点を順に繋いで絵を完成させる遊び・間違い探し・迷路などだ…

ミツキ1%

プレ幼稚園の運動会が秋に開催された。週3日コースと週2日コースの園児の合同運動会なので、参加人数は100名ほどだった。 子どもの初運動会ということもあり、どの家庭もビデオカメラを持つ手に力が入っていた。 ミツキは相変わらず集団行動拒否をし続けてい…

ミツキ VS リンちゃん

ミツキの通うプレ幼稚園は、月・水・金の週3日コースと火・木の周2日コースに分かれていた。週3コースは3クラス、週2コースは2クラスあった。1クラスの児童数は20名ほどで、クラス内では1グループ4名ずつに分かれていた。ミツキの班は、色白イケメンのリョ…