結果を受け止める④

 幼児期には誰でもぶち当たる壁だと思っていたが、書き出してみると、やはり困難の連続だったと思う。発達障害なのだと納得せざるを得ないが、それでも胸がざわつくのだ。
 そんな私の気持ちに整理をつけてくれたのが、服巻智子著の『子どもが発達障害?と思ったら ペアレンティングの秘訣』だった。

 この本の中の「親の気持ちと変遷と子離れ計画」という項目で、アルフォンス・デーケンによる悲観のプロセスを紹介している。

 希望である子どもに発達障害が分かったとき、その希望は見えなくなってしまう。希望はなくなったわけではないが、ショックや混乱のために一時的に見えなくなってしまうのだ。そんなとき、親がたどる心理的プロセスは、悲観のプロセスに似ているところがあると言われている。 

アルフォンス・デーケンによる悲観のプロセス

① 精神的打撃とまひ状態

② 拒否

③ パニック

④ 怒りと不当感

⑤ 敵意とルサンチマン(うらみ)

⑥ 罪意識   

⑦ 空想形成、幻想

⑧ 孤独感と抑うつ

⑨ 精神的混乱とアバン(無関心)

⑩ あきらめ、受容  

⑪   新しい希望、ユーモアと笑いの再発見

⑫   立ち直りの段階、新しいアイデンティティ

  の誕生

 8月18日に教育センターで検査を受け、9月6日に発達障害と知らされた時のショックは言葉では言い表せないほどだった。この8年間ずっとおかしい、何かが他の子とは違うと感じてはきたが、それでも「やはりそうだったか」とは思えなかった。思った以上に数値が悪かったこともショック(②否認)の原因だった。

 「悲観のプロセス」でいうと、私はその日に①~⑩のプロセスを経験した。しかし、「⑩あきらめ、受容」については表面上繕おうとしていただけで、内心は無理をしていた。この日から10月7日までの約1か月間、発達障害についての本を読みあさり、ミツキの状態と照らし合わせながら、主に①~⑨を繰り返し、ときどき⑩の心境になった。

 この本によると、だれでも最初は悲観のプロセスを踏む。①の打撃~⑥の罪意識までは、ほとんどが診断を知ったその日のうちに経験するとある。そして、その後①~⑨を何回も行きつ戻りつ気持ちが揺れ動いて行く。⑩のあきらめ、受容の時期になると、自力で行動を開始するようになるが、前向きな自分でありたいと無理をしている場合もある。多くの保護者がこの時期で留まっている場合が多く、ホームページを立ち上げたりブログを書いたり、本を出版したり、という取り組みでこの時期を過ごしている人もいるのだそうだ。

 私も常にミツキの行動を書きとめていた。私にとって書くということは、より理解を深め、自分の気持ちを整理し、次への一歩へとつなぐ大切なものだったのだ。

 自分一人が悲劇のヒロインみたいな気分でいたが、この悲観のプロセスに書かれている通りの心の葛藤が起きたのだと理解したことにより、急にばかばかしくなって笑ってしまった。

 辛い出来事の種類は違えど、悲観のプロセスは誰でも通る道なのだ。そして、①~⑫のプロセスを経て多くの人が立ち直り、前を向いて歩んでいく。

 泣いていたって、悔やんでいたって、明日はやってくる。だったら、やるべきことをやっていくしかない。

 やるべきこと。それは、ミツキに「自分はやればできる」という自信をもたせてやることだ。
 

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