結果を受け止める②
「そのこらしさ」を生かす子育て(改訂版)』の中から
・社会性の障害、または人とのかかわり方の
質的障害
・コミュニケーションの質的障害
・社会的イマジネーションの質的障害・あるいは
柔軟性のにがて・その他の症状
について、ミツキのそれまでの行動をふり返ってみた。
社会性の障害、または人とのかかわり方の質的障害
- 生後8か月から児童館デビュー。周りの子がパチパチ(拍手)をしているのを見た。早速、家に帰ってからミツキに教えてみたが、まったく無反応。諦めて私が家事をしていると、ミツキがひとりで自主練習をし始めた。左右の手がなかなか合わさらず苦心している様子だった。
人とのかかわりの質的障害は、あやしたときの反応の乏しさやマネをする力の未発達としても示されます。手遊び歌を一緒に楽しむ力が伸びにくいことはよく聞かれます。乳幼期には手遊び歌への関心自体が乏しい子も多いのですが、なかにはじっと見ていてあとで一人ではしているのにその場では一緒にしない(記憶する力はあるのに、まねる喜びを知らない)という子もいます。
「その子らしさを生かす子育て」p30
これはミツキを初めて「変った子だな」と感じた日のことだ。微笑ましくも思ったけれど、こういうことだったのだなと分かった。
児童館や英語教室・水泳教室・体操教室で手遊びやダンスなどを楽しむことがなかったし、テレビの幼児向け番組をまねることがなかった。
- 公園に行くと遊具にはまったく寄り付かない。公園の植え込みや道具置き場などの裏の散策を延々とする。
- 公園に連れて行っても、遊具には寄り付かず散策ばかりしているし、やっと散策が終わってみんなの集まる遊具や砂場にやってきても友だちとは関わらない。それでいて大人の会話に入りたがった。大人の話を良く聞いていて、その会話にすばやく入ってくるが、たいてい自分勝手な一方的なしゃべりになった。
これらも、人とのかかわりの質的障害なのだろう。
しかし、それでも不思議なもので、子ども達からは人気があったように思う。ミツキの不思議な行動は、彼の魅力のひとつでもあった。
コミュニケーションの発達の質的障害
日本語にはない、そしてどこの国のことばでもない音に連なりをもたせ、あたかも意味のある話しことばのように話す子がいます。これをジャーゴンといいます。
「その子らしさを生かす子育て」P32
社会的イマジネーションの質的障害
- 独特のごっこ遊び。
人形をつかってごっこ遊びをするとき、私が言うセリフをすべてミツキが決めた。
また、実在しない人物があたかもそこにいるかのように周りの人に話して聞かせた。ミツキの場合、架空の「まじまじ会社」という会社の社員たちの話をした。 - 興味関心のかたより
- 新しいことに手を出したがらない
- 小学校入学までずっと異常なほどテレビに執着していた。同じビデオを何度も繰り返し見ては、同じ場面で笑った。私の体調が悪く寝込んでいるときなど、3~4時間でもテレビを観ていられた。
- 3歳から4歳のころ、左隣のマンションの道路沿いの植え込みが気になり、いつも20~30分はその植え込みの土を棒でつついていた。
また、公園に土の山を見つけては、登って滑り台のようにお尻で滑った。ある時は、汚れた池に突然しゃがんで腰まで浸かった。 - 不注意・落ち着きのなさ・衝動性
他の親子は、どんぐりを拾ったり、魚を眺めたりと緑道の散歩を楽しんだが、私はいつもミツキを追いかけてばかりだった。
その他の症状
- 運動の問題、不器用
文字を書くのが苦手なことや縄跳びがなかなかできなかったことも納得できる。 - 感覚刺激に対する独特の反応
光を眩しがり、電気を点けない。。 - 暑さ寒さに過敏、あるいは鈍感。
半袖から長袖、長袖から半袖。衣替えに慣れさせるのが大変だった。 - たくさんの物の中から探しているものを見つけたり、見本と見比べて同じかどうか気付いたりすることが苦手。ワークの間違え探しの苦戦も納得できる。
- 特定の食べ物を拒否・大人っぽい食べ物を好む
くだもの全般を口にしない。ゴーヤやキムチなど子どもが食べたがらないものを好んだ。
本を読みながらひとつひとつ思い返してみると、納得のいくこともあったが、自閉症スペクトラムの症状全体から考えるとほんの一部に感じた。
ということは、ミツキは自閉症スペクトラムというより、学習機能障害や注意欠陥・多動性障害なのだと思った。