食について

 私が子どものころ、家に買い置きのお菓子類はなかった。だから、おやつはお菓子でなく、蒸かしたジャガイモやトウモロコシ、みかんやバナナ、食パン、焼き餅だった。まれにお菓子の袋を見つけて喜んで見てみると大抵かりんとうで、少しがっかりした。友だちの家に遊びに行くといろいろなスナック菓子の入った籠があって、当時は羨ましかった。

 しかし、おとなになってみれば間食など不要なもので、お菓子に執着しないことのすばらしさを実感している。

 3度の食事も、インスタント食品が食卓に並ぶことは一切なかった。だからこそジャンクフードへの憧れが強かったが、実際食べてみるとおいしいと感じるのは2,3口だけで、次第に味の濃さに疲れてしまった。

 料理上手な実母のおかげで、お菓子やジャンクフードに趣向が偏らなかったことに感謝している。

 そんな私が母親となり、どんな食を家族に提供してきたか。ここが問題だ。

 まずはおやつ。餅の買い置きと、おにぎりの作り置きをすることはあるが、それ以外はスナック菓子に頼っていた。なぜなら、その方が安上がりなのだ。

 次に3度の食事について。朝と晩はしっかり作るが、お昼はスーパーのお弁当や冷凍食品、ときにはジャンクフードに頼ることが多かった。

 ママ友のあきちゃんは、常に自然体であることに気を配っている人だ。3人の子どものうちの下2人は、自宅出産したツワモノ。お昼を挟んで子どもたちを連れて公園に遊びに行くとき、私はコンビニ弁当を買ってしまうが、あきちゃんは朝早くてもお弁当を作ってきた。

 売っているお弁当の添加物が怖いのだという。話を聞いているときはなるほどと思うのだが、夕方家に帰るころには「そうは言っても、いきなり明日死ぬわけじゃないでしょ」という気になった。

 だから、食品パッケージの裏に書かれた原材料の表示など1度も見たことがなかった。朝と晩はすべて手作りであるが、チューブの生姜とニンニクを使っていた。

 そんな私も、食事療法を知って医食同源という言葉を痛感するようになった。以前の私は食に対して無頓着だったと反省した。自分は実母の手料理によって守られていた。私も子どもたちを私の手料理で守ってやらなければいけない。

 3食すべて完全に手作り、生姜とニンニクもチューブをやめた。しっかりとパッケージの裏表示を確認し、カタカナの物質が書かれているものは棚に戻した。

 お菓子類は、お煎餅に留めた。

 始める前は、お昼も毎回手作りかと思うと面倒に感じたが、実際やってみるとむしろ今まで何を面倒に感じていたのだろうかと思うほど自然なことだった。

 こうして、我が家の食改善は、順調に進んでいった。

 ミツキはこの食生活に加え、病院で購入する自然由来の安全なサプリメントを摂取した。

 サプリメントの種類は、「NBcompA」「ヘム6+」「ナイアシン150」「BB」の四種類。それぞれを朝夕2錠あるいは3錠ずつ摂取するので、全部で9錠だ。しかも、どれも粒がかなり大きい。

 ミツキはそれを一気に喉に流し込むことができた。実は私は、錠剤を飲み込めない。よく噛まないと喉を通せない体質で、ヨーグルトでさえ喉に引っかかるほどだ。それを知っているミツキは、毎度得意げにサプリ飲み込み芸を私に披露してくるのだった。

 半年後の血液検査の結果、数値上では良い方向に向かっていた。しかし、ミツキの精神面での変化はあまり感じなかったので、サプリ担当の看護士と相談して「BB」を止めて「uDHA」を追加した。「BB」も止めたくないが、代金が嵩むので仕方なかった。

 更にこのとき、ミツキがくしゃみを連発して苦しそうだという話をすると「D3+5000」を勧められた。これは効果てき面で、アレルギー性鼻炎がすっかり影を潜めた。

 その他にも口内炎とニキビに効果が出始めた。更に、以前のミツキの手の爪には、縦の線がたくさん入っていたが、いつの間にか線が消えて滑らかできれいな爪になっていた。月3万円の出費は痛かったが、こうして体質改善に効果が表れるとやりがいがあった。

 見た目重視のティーンエイジャーだけにミツキは喜び、小麦と乳製品フリー生活とサプリ摂取という栄養療法の2本柱を難なく続けることができた。

 これでミツキの集中力が上がり、向上心が芽生え、学力が向上するともっとうれしいのだが。最重要事項はなかなか思ったようにはいかないのだった。

 にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村