退塾
栄養療法を始めて半年過ぎた11月、再度血液検査をして、数値の変化を確認した。数値は以前より少し良くなっていた。医師は、栄養療法の効果が出ていると言ったが、実感はなかった。そして、更に良くするためにとサプリの種類が増えた。増えたサプリは、DHAなので成績アップの期待度が増すが、これで代金は月2万9千円だ。
サプリ代と塾代を合わせると5万円超になる。効果があるようなないようなサプリと塾にお金をかけるなんてばかばかしいと思ってしまう。
そんなとき、ミツキの友だちのお母さんに会った。歯医者で子どもの歯の矯正を勧められたという。90万円もするので悩んだが、やることにしたのだそうだ。成績は優秀だが、歯並びの悪い子。歯並びは良いが、成績は悪い子。
高校受験までの16か月間、ミツキに塾とサプリ代をかけたとして総額80~90万円だ。
どこの子も、何らかの形で、お金がかかるものなのだ。ならば、子育ての必要経費として、気持ちよく出そうじゃないか。そう気を取り直して塾へ送り出し、栄養療法生活も続けていたが、成績は一向にあがらず、悶々とした日々を送っていた。当時の私の日記には連日愚痴が綴られている。
- 勉強は英語だけみるつもりだったが、結局数学も見ることになった
- 期末試験まであと2週間だというのに、数学をまったく理解していない
- あの塾長本当にむかつく! 東京一、数学の教え方が上手いんじゃなかったんかい!
- 数学が邪魔で英語が進まない
- こんなにも数学までができないなんて
- ワーキングメモリーが低い
- 全然進まない。ミツキも辛そうだ
- 試験1週間前にぐうたらできるなんて、逆に感心してしまう
- 前頭葉の活性化が必要だ
- 捗らなくて辛い
- 勉強が進まず辛い
- 毎日本当に骨が折れる
- ミツキしんどいだろうが、私もしんどい
- なぜこんなにも理解ができないのだろう
- 明日の期末試験に向けてラストスパート
- びっくりするほど塾の効果が表れていない
- 塾の意味が全くない
結局、期末試験も散々な結果となった。過去の英語の試験問題から問題の傾向を洗い出して、予想問題まで作った。ところが、ミツキの「ページとしては試験範囲内だけど、この部分は省くんだって」というデマに騙されて、大損害。その部分が丸々出たのだ。
数学もひどい。何度教えても一次関数を理解できないのだ。国語と理科と社会は、手を付けることさえできなかった。
いかにミツキが理解しないか、先に進まないかがよく分かった。高校受験に向けて勉強の方法を考えなくてはいけない。
期末試験後すぐに、塾を辞めた。電話で告げると、待ってましたとばかりに「あ、分かりました~」と言って向こうから電話が切られた。塾長は子どもだなあ、もう少し大人の対応ないのかねとも思ったが、ごちゃごちゃ言われるよりずっといい。これで、スッキリさようならだ。
月5万越えの子育て資金が約半額減ったのだ。大枚はたいて塾に通って成績が上がらなければ、怒りと悲しみは大きい。しかし、成績が上がらなくても塾に行っていなければ、少なくともお金の無駄だったとは思わない。更に、家庭学習で少しでも成績が上がったら、得したとなる。
よし、がんばるぞ。良いイメージ発動。成せば成る! 強い思いは、必ず実現する!
だけどなあ。私ばかり張り切ったって、当のミツキに信念がないんだもんなあ……