学校に報告

 ミツキに告知した2日後、検査結果を報告するために、担任の持田先生と養護の宮本先生との面談をお願いしていた。学校に着くと宮本先生が出迎えてくれた。

「今日はちょうどスクールカウンセラーの北川先生がいる日なんですが、北川先生も一緒にお話を聞かせてもらってもいいですか?」

 中学校には2人のスクールカウンセラーがいて、私がいつもお世話になっている山崎先生は、毎月第3火曜日のみの担当で、北川先生は毎週金曜日の担当だった。北川先生に会うのは初めてだった。栄養療法についても話したかったので、北川先生に一緒に聞いてもらえるのは好都合だった。

 相談室で担任の持田先生、養護の宮本先生、スクールカウンセラーの北川先生と私の面談が始まった。北川先生は、セミロングのサラサラヘアでふんわりした優しい感じ女性だった。持田先生と宮本先生と私はおそらく同世代で、北川先生は少し若い感じがした。

 病院の診断結果表をもとに説明をした。とても和やかに話は進み、ほとんど女子会の雰囲気だった。

「脚が悪い人に走れと言っても無理がある。脚が悪い人は車椅子で移動すると、病院の先生が例えたときは、出来ないことは出来ないと突きつけられたようで、けっこうショックでした」というと、先生たちも辛そうな表情をした。

「個人差があるから出来ること出来ないことって、周りが決めつけてはいけないですよね。この学校の全員の先生にもこの言葉を聞いてもらいたいですね。難しい課題を与えすぎるのはどうかと思いますよ。それぞれの子どもを見て、いろいろな段階にわけて、子どもたちの負担を緩和してあげたいものですね」

 養護の宮本先生は、養護教諭として全生徒の心のケアを日頃から考えていてくれているのだなと、うれしく思った。

 診断結果を伝え終えたところで持田先生は授業に戻り、残りの3人で今後の方針の話になった。

「薬の服用については、副作用が心配であまり気が進まないんです。生徒さんで服用している子はいますか?」

「いますよ」と宮本先生。「食欲不振はなかったようだけど、効かないって言ってやめていましたね」

「そうですね。比較的、やめる子が多いかもしれないですね。でも、効果のある子もいました」と北川先生。

「やってみないと分からないから。だったら中学在学中は、医療費無料だから試してみてはどうですか?薬代も結構高いから」

 宮本先生の言うことも一理ある。

「実はいろいろ調べまして、栄養療法というものを見つけたのですが、ご存知ですか?」

 宮本先生は、首を傾げた。

「あ、私、ちょうど1週間ほど前にその相談を受けまして、タイムリーな話です」

「北川先生ご存知ですか?栄養療法をどう思いますか?」

「私も知ったばかりで詳しくはありませんが、興味は持ちました。でも、まだあまり知られていないし、症例も少ないから、どれほどの効果があるかはわからないですよね」

「薬か栄養療法でサプリかという2択だとどう思いますか?」

「栄養療法は、分からないです。薬は、あまりお勧めはしたくない。というところです」

「分かりました。とても参考になりました。これだけ散々質問しておきながらなんなのですが、実は明日、その病院に検査の予約を取ってみたんです。ミツキに遅延型アレルギーになっている食品があるかだけでも知っておいてもいいかなと思いまして」

「葉野さん、段取りいいですね」と宮本先生。

「私、思い立ったが吉日派なんです」

 遅延型アレルギー検査の結果次第では、給食をアレルギー食に変更する必要があった。学校給食は、柔軟な対応が可能と聞いて、更に栄養療法への気持ちが強くなった。

 気が付くと2時間近く経っていた。

「山崎先生にも報告しますか?予約取っておきますよ」と宮本先生が言うのでお願いした。

「では、28日火曜日、10時から11時の1時間で取りますね」

 心なしか「1時間」の語気が強かったように感じた。2時間は迷惑だったに違いない。しゃべりすぎた。私もミツキのことを言えないなと反省した。

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