塾探し
ミツキの成長記録である『葉野ミツキの育て方』は、中学生になって初めての三者面談の様子から始まり、その後ミツキの出生からの成長を振り返ってきた。ここからは、2020.2.3配信の「スクールカウンセラー」からの続きである。
スクールカウンセラーの山崎先生の助言通り、私は、ミツキの学習に付きっきりになることをやめていた。しかし、学習方法を教えたところで、自ら机には向かわない。見守るとは、どうすることなのだろうか。このままでは、成績は下がる一方だ。しかし、付きっきりになれば、自立は望めない。
小学校の学習と比べて一気に量も難度もレベルアップしたことによって中学生ギャップに陥り、ミツキにとって勉強は最もやりたくないことになってしまったのだろう。
ミツキにやりたくないことをやらせる苦労は、これまでも散々味わってきた。見守りつつもやらせるには、どうしたらいいのだろうか。
私は、塾さがしを始めた。ミツキは、学習方法が身に着いていなかった。1人で出来ないのなら、塾に通って教えてもらうしかない。
まず塾のタイプを考えた。集団タイプか個別タイプか。集団の場合、学校の授業と同じであろう。結局先生の話を聞き逃して、内容を理解できないに違いない。個別であれば、先生と1対1あるいは1対2だから、目が届きやすいだろう。
次に塾の場所。我が家から東と西へそれぞれ約1キロ先に、駅があった。東の駅の方が西の駅より栄えていて、塾の数も多かった。学校の友だちの多くが、東の駅周辺の塾に通っていた。
塾帰りに友だちと遊んでしまい、帰ってこないというのは、中学生男子あるあるだ。遊びたくて仕方ないミツキを東の駅周辺に通わせたくない。更に悪いことに、東の駅前には、中学生がたむろする公園があった。この公園でのトラブルもよく耳にしていた。
そこで西の駅周辺の塾をピックアップし、一軒一軒話を聞きに行った。
塾さがしに1か月ほどかかった。その間、ミツキを放っておくわけにはいかないので、家庭学習の指示を出した。
英語と数学は、積み重ねの学習だ。中1で躓いたら後にひびくので、分からないままにせず復習が肝心。中間試験後、英語と数学の試験問題のやり直しをさせた。
英語の中間試験の問題は、大問の数が全部で12。そのうち、大問8までは、記号選択と単語スペルの問題。大問9以降は、英文記述問題だった。スペルの暗記や、英語の言い回しの暗記、初歩的な英文の記述であり、難易度は妥当だ。初めて英語を習う生徒にも点の取り易い内容だった。答えを参考にしながら再度暗記をすれば、復習テストは百点を採れるかと思いきや、ミツキは大苦戦をした。
何度もスペルを間違えるし、ピリオドとクエスチョンマークの付け忘れ、文頭の単語の大文字にし忘れ。5回以上やり直して、やっと70点だった。
期末試験は、中間試験よりも問題数は増えたが、難易度は妥当だった。やり直しをしたが、異常にケアレスミスが多く、何度やり直しても高得点に至らない。
ミツキの中で、英語はやりたくないことであり、思考が完全にシャットダウンしていていた。
それに対して、数学にはヤル気がみえた。しかし、点数は何度やり直しても芳しくなかった。試験問題の難易度が高度であることが、原因のひとつだと思う。
通常は、大問1の計算問題から始まり、徐々に応用問題になっていくのが、一般的な数学の試験問題だと思う。
しかし、この学校のものは、大問1から設問選択問題だ。5つの設問から好きな問題を1つ選んで答える。どれを選んでも癖のある問題だ。大問2で、数学の知識を問う問題。大問3,4でやっと計算問題。大問5,6で考え方を問う問題。大問7でまた設問選択問題。大問8,9でややこしいの応用問題。大問10で数学マニア的問題。全部で9ページもある。
小学校でカラーテストしか受けたことのない中学1年生が、50分間で解き終えるのは難しい。数学マニアが作った、趣味の域の問題に感じた。
つい問題のせいにして文句を言ってしまうが、平均点は50点なのだから、難しいと言えどもみんなは付いていっている。中には90点台の子もいるのだから、文句を言う暇があったら、努力しろということになる。
そこで、結局また付きっきりで私がミツキに教える破目になる。元の木阿弥だ。
ところが、小学生のころのようにはうまくいかない。ミツキが、母親である私に教えられるということを拒み始めたからだ。
早急に塾を探さなくてはならないと思った。