チームでの私の役割

 私が球場に顔を出すのは、2か月に1回の割合で回ってくるお茶当番の日と試合の日だった。練習試合は月に2回はあるので、ほぼ毎週土日のうちのどちらかは球場に行っていた。パパと2人で過ごすことに慣れていないリオは、いつも私に付いてきた。

 その頃私は、レッドウィングスでの自分の役割に悩んでいた。
 試合観戦に行く。リオも付いてくる。ミツキは試合に出ていない。試合観戦に飽きたリオがぐずり出す。他に来ているチビッ子たちもぐずっている。子どもたちを連れて球場の外で遊ばせる。ふと、球場内を遠目に見るとミツキが代打で出ている。
 そんな繰り返しだった。私は何をしに球場まで行っているのだろうか、野球が好きでないリオを連れて、ミツキがスタメンでもないのに行く必要あるのかと思うことがあった。

 そんな気持ちを切り替えられたのは、8月の初めに行われた2泊3日の夏合宿だった。保護者は、2泊3日フルで参加の人、前半か後半どちらか1泊の人、日帰りの人と参加状況はまちまちだった。代表・総監督・監督・会計は、フル参加していた。私は迷った末、前半の1泊で参加した。会計さんのお手伝いをしておけば、来年度に自分が会計になった場合の参考になると考えたのだ。

 夏合宿にはリオも参加した。予想通りリオは、球場でじっとしていることにすぐに飽きた。結局いつも通り、リオとチビッ子たちを連れて場外で遊ぶことになり、会計さんのお手伝いどころではなくなってしまった。

 チビッ子たちは、みんなかわいい。普段は甘えん坊のリオが、チビッ子たちに対してはおねえさんになっていて成長を感じた。癒しの楽しい時間ではあったが、私としては野球のお手伝いに来たのに遊んでいていいのだろうかと複雑だった。しかし、球場に戻ると、チビッ子たちの母に感謝された。直接的なお手伝いでなくても、こういった役割もあるのだと思い、胸を撫で下ろした。

 合宿2日目の午後は、部員とチビッ子たちにとってはパラダイスだった。昼ごはんのあとは、近所の市民プールへ行った。泳ぐことが大好きなリオも大はしゃぎだった。部員たちは、流れるプールで鬼ごっこ。5時起きで浜辺をマラソンして、午前中も練習だったというのに、みんな疲れ知らずだ。

 プールのあとは、宿の空きスペースで流しそうめん。毎年恒例のようで、長い筒を縦に割って作った本格的な流しそうめんだった。滅多に出来ない体験に子どもたちは盛りあがっていた。

「練習ばっかりしていると、子どもたちは飽きちゃうから、楽しみもいれないとね」

 総監督は合宿以外でも、球場でラーメンやカレーを作ってくれたり、肉を焼いてくれたり、いつも子どもたちを楽しませてくれていた。30年間、野球チームを存続させる秘訣のひとつなのだろう。

 レッドウィングスに携わっている大人たちは、当然平日は仕事をしている。どんなに野球が好きだとしても、たまには家でのんびりしたいときもあるのではないかと思うのだが、どう見ても心から楽しんでいるようにしか見えなかった。

 貴重な休日の時間をチームのために使う。遠くの球場に行く場合は車を出して、子どもたちの送迎をしてくれる。子どもたちはジャージを持参し、泥のユニフォームのままでは車に乗らないというルールはあったが、それでもきれいとは言えない。そんな子どたちを乗せるのに抵抗はないのだろうか。全てが無料奉仕だ。なんて素敵な人の集団なのだろう。監督コーチ陣に感謝と尊敬の想いでいっぱいだった。
 あまりにも周りが立派なので、自分を恥ずかしく感じるてしまう。私も自分ができることを少しでもやって、チームに貢献したい。ミツキが試合に出られるようになるまで、リオが一緒に来ている間は、チビッ子たちのお世話をしようと思うようになった。

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