葉野ミツキの育て方

そんなトリセツ、あったらいいのに

素振りの効果

 野球のルールを覚えるために、アニメ「ダイヤのエース」を読み始めた。野球のルールブックも買ったが、アニメの方が具体的で分かり易いのだそうだ。ついにはマンガ本も全巻揃えた。

 また、毎日の素振りも欠かさなかった。欠かさなかったというと、いかにも自らやったように聞こえるが、実際は毎日の私の声掛けが必要だった。でも、興味のないことはどんなに声掛けしてもやらないので、野球に対してのやる気は感じられた。

 素振りは王選手じゃないが、我が家の和室でやった。6畳の和室には何も家具を置いていないし、小4の小柄なミツキならバットを振り回しても空間に余裕があった。ただし、リオが近寄らないように細心の注意は払った。

 初めのうちは、ブンブンと闇雲にバットを振り回していた。やっているミツキも、見ている私も何が素振りの正解なのか全く分からない。休日はパパに見てもらえるが、平日は困った。コーチや監督に教えてもらったことを、1人で実践できるほどミツキは器用ではなかった。

 バットを振るにあたって、目に見える基準が何かあればやり易いのではないか。そう考えた私は、天井から紐を垂らし、紐の先にボールに見立てて丸めたタオルを括り付けた。足元にはベースに見立てた厚紙を置いた。紐の長さとベースの位置を変えることにより、内角低めや高め、外角低めや高めの球を打つ練習ができると考えた。

 これを毎日やり、毎週練習に参加することにより、素人の私の目にもフォームが良くなり、スウィングも早くなったように見えた。スウィングが早くなると、丸めたタオルにバットが当たる衝撃が激しくなり、紐がちぎれんばかりに揺れるので、この練習法は終了となった。

 次は私が投げたバドミントンのシャトルを打つ練習だった。これも初めはよかったが、部屋の中でやるには跳ね返ったシャトルの衝撃が激しくなりすぎて終了となった。

 あと私にしてやれることは何かと考えていたが、このころには素振りも上達し、且つ、自ら素振りをするようになったので、私の出番はなくなった。

 ミツキの初のスタメン入りは、現3,4年生で構成されたBチームの公式試合だった。入部して丸2か月、まさかこんなに早くスタメンになれるとは思っていなかった。
 ミツキはライト。緊張しているのが分かる。ライト方面にボールが飛んできませんようにと祈りつつも、飛んできたボールを華麗にキャッチ出来たらどんなに素敵だろう想像してしまう。ライトに球が飛んでくることはなかったが、ファーストのフォローをしっかりとしている姿に感動した。
 相手のピッチャーの球はとても早くて手も足も出ず、3回コールド負けだった。しかし、なんとミツキだけがサードゴロを打ち、ファーストの守備ミスで2塁まで行くことができた。うれしいよりも信じられないという気持ちが先行した。これが素振りの成果だろうか。

 この日の午後は、6年生の卒部式だった。試合後一旦帰宅した後、少しだけおしゃれをして卒部式の会場へ向かった。
 卒部式は、記念品贈呈や6年生の作文、VTR上映など内容が盛りだくさんで、温かい雰囲気に感動の連続だった。

「ミツキは、バットに球を当てるのがうまいですよ。明るい性格だし、チームを盛り上げてくれている。これからも期待していますよ」

 歓談中、ロバートダウニーjr似の蝶野監督が私の席にやって来て、ビールを注いでくれながら言った。格別においしいビールだった。

 ミツキを認めてくれる人がいる。ミツキを応援してくれる人がいる。ミツキに期待を寄せてくれる人がいる。こんなにうれしいことって他にあるだろうか。

 どうかこれを機に、ミツキが自分に自信を持ち、努力することを楽しみ、邁進していきますように。

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