ミツキ、プレ幼稚園に通う

 2年保育の公立幼稚園を希望していたので、その前の1年間は週2日のプレ幼稚園に通うことにした。第二子出産を控えた大きなお腹で入園式を迎え、入園後4回通園したのち第二子を出産した。出産後、私と子ども達は私の実家に里帰りした。1か月間(8回の保育)園を休むつもりでいたが、私の両親が実家から園の送迎をすると申し出てくれた。両親に感謝である。

 プレ幼稚園の入園式の日、ミツキの態度は、最低最悪だった。隣の男の子の椅子をずっと蹴り続けたのだ。

 2回目。教室に入りたくないと大泣き。なんとかして入るまいとドアにしがみつくミツキを愛しく思う。15分ほど泣いたが、次第に慣れて自然と輪に入って行くことができた。友だちとのトラブルもなく、ひと安心。     

 3回目。泣かずにあっさりと教室に入ったが、バッグの紐をひたすら噛み、お友だちの輪には入らなかった。ずっと入り口付近にいて先生に絵本などを読んでもらっていたようだ。  

 パパが帰宅後、ミツキに幼稚園の話をパパにするように促すと、「ばれちゃうからやだよ」と言って絶対に話そうとしなかった。その様子を見たパパは

「ミツキは自分に厳しいから、園での生活がうまくないと自覚しているんだよ。だから言いたくないんだ。少しずつ慣れてきたら自信を持って自分から話してくるからそれまで気長に待とう」と言った。

 4回目。だいぶ慣れてきたようで、少し愚図ったが泣かずに教室の奥の方まで入り、先生の話を聞けた。一歩前進がうれしい。少し安心したところでミツキを私の両親宅に預け、私は出産のため入院した。

 5回目からは、両親の家から車で1時間ほどかけての通園となった。新しい友だちができ始め、元気に通えるようになった。ところが、車通園3回目の保育から帰ってきたミツキが私に飛びつき、半べそをかきながら

「ママ、ばあばこわいよ」

と言った。集団行動をしないミツキに母の怒りが爆発したらしい。

 母は完璧主義者である。周囲からの評価を人一倍気にするタイプだ。

 保育後教室から出てくる園児たちをひとりずつ先生が保護者に引き渡す。そのとき、先生からその日の活動報告を一言二言もらう。母は、その内容が気に入らなかったようだ。帰りの車中1時間、ミツキは母にずっと叱られていた。

 ミツキに続いて部屋に入ってきた母は

「まったくこの子は、お遊戯も工作も何にもしないんだってよ。あんたの育て方が悪い。あんたたち親子のせいであたしは恥かいたよ」

 遅かれ早かれこんな日がくると思っていた。

「お母さんごめんね。私もだいぶ回復したから、次回からは私が行くよ」

 園での3時間の保育の中で自由に遊べるのは朝礼まで。それ以外は、歌やお遊戯や工作、あるいは屋上でのボール遊びなど。ミツキは、朝礼までは元気にはしゃいでいるが、集団行動になると一切参加せず、サブのアヤメ先生にずっと付き添われているのだそうだ。このことは、入園直後から先生に言われていることで、母にはその旨を最重要事項として伝えていた。そのときの母は

「まだ入ったばかりだからこれからだよ。先生に何言われても焦らないことだよ」

と、随分寛大に構えていた。

 車での送迎の初日から、帰りの車は母のお小言タイムだった。しかし、3回目の引き渡しのとき

「ミっちゃん、工作のときどうしても自分の手で糊を塗るのが嫌で、アヤメ先生の指に糊をつけて先生の手を持って塗ったんですよ」

との報告に、母の怒りが爆発してしまった。母は昔から怒るとすぐに手が出るので、このままミツキの送迎を頼み続けるのは危険と判断。私とミツキと父の3人での通園となった。

 家ではどうしても赤ちゃん中心になってしまう。母に赤ちゃんを預けで出かけるこの往復2時間は、私がミツキだけに目を向けられる貴重な時間となった。

 当初里帰り期間は1か月の予定だったが、結局夏休み直前まで実家でお世話になり、ミツキとの往復2時間を堪能した。

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