公園デビュー

 1歳半のころには毎日のように公園に行くようになったが、ミツキによるいくつかの行動が悩みの種だった。

 家から歩いて10分ほどの公園になかなか辿り着けないのだ。ミツキは、マンションのエントランスを出てすぐ左側の道路沿いにある植え込みが、なぜか好きだった。その植え込みの土で遊びたがって、通過できない。歩道に座り込み、鉄柵の手前の土を落ちている枝で突っつく。固い土なので、まったく掘れない。

つんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつん

 この作業が毎回20分は続く。

 ようやく気が済んで再出発。公園に着くと、児童館で知り合った友だちはすでに砂場で遊んでいて、砂場の柵内で遊ぶ子どもたちを見守りながら、3人のママたちが楽しげにおしゃべりをしている。

 公園内に入るなりミツキは走り出す。しかし、砂場には行かない。他の遊具にも行かない。ミツキは、毎回必ず公園の散策から始める。それも、公園の隅の植え込みや、公衆便所の裏など人のいないところばかりに行く。

 長い枝を見つけては、それを振り回しながら公園の隅を何周もする。私は、ミツキを見守りながら後ろを付いて行く。砂場からは楽しげなママたちの声が聞こえる。

「ミっちゃん、砂場においでよ。一緒に遊ぼう」

 気を遣ってママたちが声をかけてくれる。うれしいけれど、なんだか虚しい。

 散策が終わるとやっと遊具に近づくが、正規の使用方法では遊具を使わない。

 滑り台付近にいるのに、その周りを走ったり、階段下の土を掘ったり、手すりにぶら下がったり、階段の昇り降りをしたり・・・

「すべらないんかい」とツッコミたくなる。

 そうこうしているうちにお昼になり、一同解散。

 みんなと一緒に遊べる日がやってくるのだろうかと不安な日々が続いた。

 

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